ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 190 2009-05-15

国民皆保険制度の崩壊を止めるために
−患者一部(窓口)負担割合引き下げ等の検討−

 

  • 2008 年5 月以降、家計支出における保健医療サービス支出の前年同月比は、家計消費支出全体のマイナス幅を上回っている。
    また、国民健康保険では、2008 年6 月時点において、医療機関にかかったとき窓口で全額を負担しなければならない資格証明書世帯が33.9 万世帯に上っている。
  • 公的医療保険における被保険者・患者の経済状態はいちじるしく悪化しており、受診抑制が起きているのではないかと懸念される。
  • 本稿では、医療へのアクセスのハードルを下げるため、患者一部負担割合の引き下げを提案する。
    外来すべてで、0〜69 歳を2 割負担、70 歳以上を1割負担にした場合、追加で必要な給付費は約8,500 億円程度である。
    初診のみを引き下げた場合には、必要な給付費は約600 億円である。
  • あわせて国民健康保険の資格証明書世帯が、窓口で全額負担しなくても良いようにすることを提案する。
    このために必要な費用は約1,300 億円である。
  • 一部負担割合の引き下げも、資格証明書の停止も早期受診を促す。被保険者・患者にとっては経済的なメリットだけでなく、早期発見、早期治療により重症化を防ぐ効果もある。
    当面の財政支出は必要であるが、重症化による医療費の増大の抑制、健康な就労を通じた国内生産額の増加や税収増が期待できる。

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