ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 194 2009-07-08

病院・介護保険施設における
地球温暖化対策自主行動計画フォローアップ等に関する調査研究

 

  • 本報告は、「I.病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップについて」、及び「II.介護保険施設における地球温暖化対策の実態について」を、取りまとめたものである。
  • 「I.病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップについて」は、2008 年8 月に策定した「病院における地球温暖化対策自主行動計画」について、2007 年度における数値目標の達成度や温暖化対策の取組状況を中心に、アンケート実態調査によりフォローアップ調査したものである。
  • 病院における、2007 年度のCO2 排出原単位の実績は、基準年度2006 年度比で4.1%減となり、目標とした年率1.0%減を上回った。しかし、CO2 排出原単位に大きく影響するエネルギー消費原単位は、2006 年度に対し2007 年度はわずかながら増加しており、今後ともこの削減とエネルギー転換等 CO2 削減対策を進めていく必要がある。
  • 数値目標が達成された背景として、様々なCO2 排出削減への取組が考えられるが、特に大きな要因としては、エネルギー転換工事の推進等による、「重油・灯油といった化石エネルギー使用量の削減」と、「重油・灯油から電力・ガスへのエネルギー転換」が影響したと考えられる。
  • 今後、原油価格の急激な下落等で化石燃料の消費が増加するとしても、長期的にみれば石油資源は生産に限界があり、重油や灯油の消費量の減少と電気・ガス等へのエネルギー転換が進むと予想され、自主行動計画で掲げた目標は達成される可能性が高いと考えられる。
  • なお参考として、病院における2007 年度のCO2 排出量実績を求めたが、活動量(延べ床面積)が対前年度比2.4%増加したにもかかわらず、CO2 排出原単位が大きく減少したため、2007 年度のCO2 排出量も2006 年度に対し 1.8%減少した。
  • 「II.介護保険施設における地球温暖化対策の実態について」は、介護老人保健施設を中心とした介護保険施設における、地球温暖化対策のための「アンケート実態調査」を行い、これを検討した。
  • 介護保険施設においては、2006〜2007 年度にかけてエネルギー消費量及びエネルギー消費原単位は増加しており、更に「重油・灯油の使用割合の高止まり」「エネルギー転換工事の停滞」等を大きな理由として、「CO2 排出量」及び「CO2 排出原単位」も増加している。
  • 介護保険施設は、その運営特性ゆえに早期の大幅なエネルギー削減は難しく、特に介護老人保健施設の収入は大部分が介護報酬のため、省エネ対策のために大規模改修が出来る施設は少なく、エネルギー転換工事等の促進には、介護報酬、税制及び補助制度等の検討が必要である。
  • このため現状では、自主行動計画は策定せず、引き続き実態把握に努めていくことが望ましい。

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