ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 199 2009-09-09

2008年度診療報酬改定後の医療費の動向分析

 

  • 2008年度の医療費の対前年度比は1.9%であり、自然増と考えられる+3.1%との差は▲1.2%であった。診療報酬改定率▲0.82%以上に減少したと考えられる。
  • 厚生労働省は、2008年度の医療費について、稼動日数補正後の伸び率は+2.2%であり、診療報酬改定の影響(▲0.82%)を除いて3%台であるとの見解を示した。しかし、これまで厚生労働省が用いてきたのは、稼動日数補正前のデータであり、補正前の伸び率は、診療報酬改定の影響を除いて+2.7%である。
  • 調剤医療費の対前年度比は、2007年度+8.9%、2008年度+5.3%である。このうち、薬剤の単価アップによるものが、2007年度は+2.2%、2008年度には+2.6%あったと推計される。新薬の登場などによる伸び率が年2%台あるのではないかと推察される。
  • 2008年度の診療報酬改定によって、病院医療費の対前年度比は+2.5%になるはずであったが、実際には+1.4%であった。診療所の医療費は+0.7%になるはずであったが、実際には+0.3%であった。
  • 診療報酬改定の成果が十分ではなかったのは、受診延べ日数が減少しているためである。受診延べ日数は、入院においては主として平均在院日数の短縮化、入院外では長期投薬と受診抑制によって減少している。
  • 医療費は「1日当たり医療費×受診延べ日数」で決まる。これまで診療報酬改定において受診延べ日数は考慮されてこなかった。診療報酬改定以外の制度改正の影響や、雇用環境の悪化など受診に影響を与える要因についても考慮すべきではないかと考える。

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