ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 200 2009-09-16

国家財政の分析 −総予算・独立行政法人・「埋蔵金」−

 

  • 2009年度当初予算ベースでの総予算(歳出)は207兆円である。ここから社会保障費、国債償還費用除くと59.7兆円である。安定的財源として十分かどうかは別として、一定の財源は確保できる。今のところ削減の具体的な内容は明らかではないが、財務省が予算編成スケジュールを重視するあまり、「一律何%」削減といった提案を持ち出さないようよう注意したい。
  • 財政融資資金への繰り入れや、独立行政法人への政府出資金にも注意すべきである。財投機関としての独立行政法人の中には、財政が健全ではないところが少なくない。財政融資資金の融資や政府出資金の圧縮、引き上げも検討課題である。
  • 特別会計の「埋蔵金」はなくなりつつあるが、2009年度末も年金積立金を除いて50兆円以上の積立金があると推計される。また「埋蔵金」は、いつでも肥大化する。特別会計の抜本改革はもちろん、中間決算の公開も含めて、スピーディーかつ徹底的に使途をチェックすべきである。
  • 総予算から捻出される財源は、中長期的な安定的財源とは言い難い。新政権は、4年間消費税率を引き上げない方針であるが、そうであれば、この期間を国民が消費税について理解、議論をするための好機と捉えたい。多くの国民は、現状の消費税の枠組みや使途を知らない。4年間という時間をかけて、国は十分な説明責任を果たすべきであり、国民の判断に資するべきである。筆者自身も一国民として、じっくり検討していきたい。

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