ワーキングペーパー
ワーキングペーパーNo. 201 2009-10-13
開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査
- 最近5年以内に新規開業した開業医の6割は、「自らの理想の医療を追求するため」に前向きに開業している。一方、最近5年以内に新規開業したケースでは、「過重労働に疲弊したため」「精神的ストレスに疲弊したため」という回答も、それぞれ3割を超えており、病院勤務医の厳しさがあらためて浮かび上がった。
- 勤務医時代には、当直や時間的拘束が大きな負担である。これに対し、開業後には、経営負担がのしかかる。最大の課題は「スタッフの採用」である。「経理・会計」および「税務」が負担であるという回答も、それぞれ4割以上、「資金繰り」も3割強である。
- 40歳代以下の開業医の約1割は、診療していない日数は週に1日以下である。また診療を行っていない日にも地域医療活動などに従事しており、40歳代�彊歳代の開業医の3割以上が、週3時間以上、地域医療活動を行っている。
- 開業した現在、勤務医時代と比べて、労働時間が「過重になった」という回答が約4割、精神的ストレスが「強くなった」という回答が半数強あった。開業医も疲弊している。
- 病院勤務医の過重労働は深刻であり、現在の最優先課題が、病院勤務医の過重労働緩和であることは明らかである。そして、そのためには、十分な財源の手当てが必要である。今回の調査からは、開業医も過重労働、精神的ストレスにさいなまれており、経営状態の悪化がこれに追い討ちをかけていることが明らかになった。開業医としての将来像を明確に描けないまま開業し、苦悩している開業医もある。病院であろうが、診療所であろうが、地域で「理想の医療」を追求する医師を失わないためにも、病院勤務医と開業医のそれぞれを評価すべきである。
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