ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 458 2021-08-24

日本医師会かかりつけ医診療データベース研究事業(J-DOME)
「第3回 J-DOME レポート」の報告

 

  • コロナ禍でのかかりつけ医への期待の高まりと、外来医療機能の議論が進められる中、かかりつけ医機能が今まで以上に注目されている。
  • 日本医師会では、かかりつけ医機能のさらなる強化に向けた事業の1つとして「日本医師会かかりつけ医診療データベース研究事業」(J(ジェー)-DOME(ドーム))を2018年より現在の方式で開始し、糖尿病と高血圧を含む生活習慣病の症例レジストリを構築している。
  • 本稿では、3年分の糖尿病症例の分析と、収集1年目の高血圧症例の分析を含む「第3回J-DOMEレポート」を紹介するとともに、かかりつけ医機能強化における診療データの意義について考察する。症例分析結果の概要は以下である。
    • 糖尿病症例については、全体の平均値をみると、3年間でBMI、HbA1c、血圧値、コレステロール値、中性脂肪などの悪化は見られなかった。一方で、糖尿病網膜症(15.8%)を含む合併症とがん(9.4%)を含む併発疾患の増加が見られた。eGFRが30未満の症例は全体の3.1%、30以上45未満は9.5%であった。かかりつけ医によるさらなる検査の実施と健診・検診の勧奨の重要性が示唆された。
    • 2020年の高血圧症例は、初年度で症例数に限界があるが、症例の外来血圧(診察室血圧)と家庭血圧の差(平均10.2/2.3(mmHg))が明らかになった。また、塩分摂取量と血圧の関係性も示された。
  • かかりつけ医機能強化においては、かかりつけ医を受診する患者の治療アウトカムの向上を図ることが最終的なゴールである。リアルデータに基づき、効果的な診療のための解析を行うと同時に、治療アウトカムの情報を現場で活用できる基盤構築を早急に進めることが必要と考える。

本文

第3回J-DOMEレポート