ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 211 2010-02-01

二次医療圏別に見た医師不足と医師偏在(2008年版)

 

  • 2006年から2008年にかけて、人口1,000人当たり医療施設従事医師数が増加した二次医療圏は69.8%であり、医師数が増加した二次医療圏が60.1%、医師数は増えなかったが人口が減少した二次医療圏が9.8%であった。
  • 人口1,000人当たり医療施設従事医師数の二次医療圏間格差は、2006年の16.0倍から、2008年には16.4倍に拡大した。無医町村も2006年の23町村から、2008年には26町村に拡大した。
  • 診療科別に見ると、1つの病院で大きな増減があったと推察されるところが多々あった。さらにその要因をさぐっていくと、医師の引き揚げ、診療科の休止だけでなく、診療報酬の不正請求やいわゆる「たらい回し」など事件性のあるケースもあり、経営形態が変更された際に医師が異動するケースもあった。
  • このような病院固有の事情は中央(国レベル)では把握できない。偏在解消のためには、地域の事情に目が届く都道府県に財政的余裕を持たせることも必要である。
  • 医師が数十人規模で存在する二次医療圏にあっても、集団離職(集団引き揚げもあると推察される)が少なくない。根源的な要因は医療費が少ないためと考えられる。診療報酬の引き上げ、医師および医療関係職種の養成のための財源、教育を担う医療機関への政策的支援等、すべてで底上げを図らなければならない。

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