ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 215 2010-06-07

病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップ等に
関する調査研究

 

  • 本報告は、2009 年「病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップ報告」を、取りまとめたものである。
  • この「病院における地球温暖化対策自主行動計画フォローアップ報告」は、2008 年8 月に策定した「病院における地球温暖化対策自主行動計画」について、2008 年4 月〜09 年3 月まで(2008 年度)における数値目標の達成度や温暖化対策の取組状況を中心に、アンケート実態調査により第二回目のフォローアップ調査をした結果である。
  • 2008 年度のCO2排出原単位の実績は、前年の2007 年度比で7.9%減となり、前年度に引き続き目標とした年率1.0%減を下回った。同時に、CO2排出原単位に大きく影響するエネルギー消費原単位も、2006 年度に対し2008 年度は6.2%減少しており、引き続きこのエネルギー消費原単位とCO2排出原単位の削減対策を進めていくことが重要である。
  • 数値目標が達成された主要な背景として、一つはCO2排出削減への取り組みが考えられ、特に大きな要因としてエネルギー転換工事の推進等による、「重油・灯油といった化石エネルギー使用量の削減」と、「重油・灯油から電力・ガスへのエネルギー転換」が影響したと考えられる。
  • 今後についても、原油価格の急激な下落等で一時的に化石燃料の消費が増加するとしても、長期的にみれば石油資源は生産に限界があり、重油や灯油の消費量の減少と電気・ガス等へのエネルギー転換が進むと予想され、自主行動計画で掲げた目標は達成される可能性が高い。
  • 参考として2008 年度のCO2排出量を求めたが、2007 年度の802.3 万t-CO2(100.0)に対し、2008 年度は718.8 万t-CO2(89.6)と、対前年比で10.4% も減少した。
  • 病院規模別でCO2排出原単位をみると、2008 年度の病院規模別のCO2排出原単位は、2007 年度に比べ「4 万〜5 万 ㎡未満」を除く病院でおしなべて減少しており、病院規模に関わらずCO2排出原単位が減少したことが明らかになった。
  • 病床規模別のエネルギー消費量及びCO2排出量の規模別傾向は同じで、「500 床以上」の病院が最も大きな値を示し、その2008 年度の値は、エネルギー消費量が32,551 千GJ、CO2排出量が1,537 千t- CO2となっている。
  • 500 床以上の病院は、病院数で3.4%に止まっている一方、エネルギー消費量及びCO2排出量においては、各々21.7%、21.4%と、全体の約1/5 も占めている。そして、この全体に占める割合は、2007 年度の値に比べ何れも増加している。
  • 国においてはかなり唐突に、温室効果ガスを2020 年まで25%削減する中期目標の設定や、地球温暖化対策税の創設、及び国内排出量取引制度の創設等を骨子とする「地球温暖化対策の基本法案」を、今通常国会に提出する予定であると伺っている。
  • 現在進められている基本法案の策定プロセスや、その法案の内容については、必ずしも十分国民に理解されているものとは言えないとともに、国民の命を預かる医療の立場からも様々な課題を抱えていると考えており、基本法案に関しその「策定プロセス」、「国内排出量取引制度や地球温暖化対策税」、及び「中期目標」を中心とした要望をするものである。

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