ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 221 2010-09-09

最近の医療費の動向 −2010年度診療報酬改定まで−

 

  • これまで医療費は年3%増加するという前提の下で抑制されてきたが、近年の年平均伸び率は3%未満である。2009年度は高い伸びを示しているが、新型インフルエンザの影響であると推察される。今後、新たなパンデミックが医療費の増加に突発的な影響を与えた場合など、医療費の伸びの見方には注意が必要である。
  • 2010年度の診療報酬改定では、急性期入院医療に手厚い財源配分が行われたが、それ以前から、大学病院、大規模病院に医療費が集中投入されていた。中医協では、診療報酬改定に係る議論において、医療経済実態調査の損益差額に着目しているが、経営努力により黒字化した場合には、診療報酬が引き下げられてしまうこともある。医療費(医業収入)がどう伸びているのかも考慮すべきである。
  • 薬剤1種類1日当たり薬剤料(平均薬価に相当)は、診療報酬改定のない年には年2%台の伸びを示している。1枚の処方せんで処方される薬剤種類も年々増加している。
  • 院外処方の拡大によって、医科から調剤に医療費が移行した。また、長期処方の拡大によって医療機関の外来通院回数が減少している。この結果、医療費に占める医科入院外医療費の割合は、2000年度の40.5%から、2009年度には36.1%に縮小した。一方、調剤医療費の構成比は、2000年度の9.5%から、2009年度には16.7%に拡大し、医療費全体に対する調剤医療費の重みが増加している。

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