ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 223 2010-09-24

医療関連データの国際比較2010
−OECD Health Data 2010より−

 

  • 日本の対GDP総医療費は8.1%(2007年)であり、OECD加盟31か国中22位である。現在、日本では医療費を増加させようとする方向にあるが、総医療費には、日本の国民医療費に相当する費用のほか、健康関連サービスの費用や日本の高度先進医療の全額患者負担分等を含む。日本において混合診療を全面解禁して私的医療費を拡大し、これをもってOECD平均並みの対GDP総医療費を達成しようという考えが出てくることが懸念される。
  • 日本では、公的医療費(給付費に相当する部分)の割合を高くすれば、財源的制約から医療費が抑制されるとの意見がある。しかし、OECD加盟国では、公的医療費の割合が高いほど、医療費が抑制されているとの関係性は見られなかった。
  • 人口1,000人当たり医師数は日本2.2人(2008年)でありOECD平均3.1人を下回っている。しかし、1人当たり受診回数は13.4回ともっとも多く、医師の労働が過重になりやすい傾向が示唆される。また、OECDの人口1,000人当たり医師数には外国人医師も含むため、日本において外国人医師の受け入れによって医師数増加を図ろうという動きが出てくることが懸念される。
  • 平均寿命と相関が高い項目は1人当たり総医療費、人口当たりCTスキャナ台数、人口当たり看護職員数であった。予防や検査、治療に一定の費用を投じることで平均寿命の長さを支えている可能性がある。
  • 先進諸国でみると、喫煙率が高いのは日本とフランスであるが、フランスは男女とも高いのに対し、日本は男性で高く女性は低い。また、カナダでは喫煙対策を推進した結果、約30年で喫煙率が半減した。

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