ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 224 2010-12-01

諸外国(英・仏・独・米)の診療報酬
診療原価やドクター・フィーは明確化されているか?

 

  • イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのうち、診療報酬の支払いにおいて、ドクター・フィーとホスピタル・フィーが明確に区別されているのは、フランスの民間病院とアメリカである。
  • イギリスでは、税を財源とする予算配分によって医療サービス事業が運営されているため、基本的には診療報酬には診療原価コストが反映されていない。ただし、近年導入された成果報酬部分(ペイメント・バイ・リザルツ:PbR)には、すべての原価コストが医療サービスの公定価格に反映される仕組みがある。
  • フランスでは、民間病院の場合、ドクター・フィーとホスピタル・フィーが区別されている。ドクター・フィーは自由開業医と疾病金庫との協約料金であり、ホスピタル・フィーは公的病院のDRG/PPS と整合性をとる形で報酬が設定されている。協約料金とは基本的に交渉で決まるものであり、診療原価コストを明確に反映するものではない。
  • ドイツでは、保険医(外来医療)の診療報酬は、その総額(上限)が交渉で決定される。さらに、診療行為件数が基準診療行為量を超えると、報酬が減額される仕組みも導入されている。したがって、診療報酬は明確に診療原価コストを反映するものではない。病院の診療報酬は、従来の実費補填原則が撤廃されてDRG 包括払いとなり、診療原価コストの積み上げが明確に意識されていない。
  • アメリカでは、公的医療保険の場合、ドクター・フィーはRBRVS に準拠した料金表を基に支払われる。RBRVS では、医師の診療行為はHCPCS のコード体系に基づき、医師の技術料、諸費用、保険料の3つのコストが反映されている。

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