ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 225 2010-12-20

長期処方についてのアンケート調査報告
−6 道県におけるパイロットスタディ−

 

  • 現在、もっとも多い処方期間が「5 週以上」であるという医師が3 割近くあり、処方期間が長期化している。
  • 慢性疾患等の患者に限ってみると、もっとも多い処方期間が「12 週以上」であるという医師が3 割近く(26.1%)ある。特に、高脂血症(HMG-CoA 還元酵素阻害剤)や高血圧症(ジヒドロピリジン系Ca 拮抗剤)等については、処方期間が「8 週以上」の医師は約8 割に達していた。
  • 5 週以上の比較的長期の処方を原因として「患者の容態の変化に気づくのが遅れたこと」がある医師が2 割近くあった。「患者が次回再診予約時に、診察に来なかったこと」がある医師は約5 割であった。容態の変化については、急性増悪し、重篤化したケースも報告された。
  • 比較的長期の処方が行なわれている慢性疾患等の患者には高齢者が少なくないと推察されるが、高齢者は、長期処方中に容態が変化しても、遠慮して次回診療時まで我慢してしまうという報告もあった。
  • 処方期間の短い医師のほうが、比較的長期の処方により「患者の容態の変化に気づくのが遅れたことがある」と回答した割合が高かった(本調査では、他院で長期処方を受けたと思われる患者が当院を診察した場合の事例を含んでおり、自己責任かどうかは問うていない)。逆にいえば、処方期間が短いからこそ、変化に気づくことができた可能性もある。
  • 病院医師では、1 日の外来診療患者数20 人以上の医師の約4 割が、比較的長期の処方を行なっている理由として、「外来患者を少なくしてじっくり診療するため」を選択していた。
  • 診療所医師では、比較的長期の処方を行なう理由として、もっとも多かった回答は「患者さんからの要望」であり、6 割近くであった。
  • 医師の年齢階級別では、特に20 歳代から40 歳代の若手医師で処方期間が長かった。

※2011.02.09 2010年12月20日公表資料より一部修正しております。

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