ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 226 2011-02-08

医学部教育・初期臨床研修制度に関するインタビュー調査:
卒前教育・卒後研修の シームレスな連携へ向けて

 

  • 本ワーキングペーパーの目的は、インタビュー調査を通じて医学部教育・初期臨床研修制度に関する現状把握を行い、政策的インプリケーションを**仮説的に**議論することである。
  • 都市と地方の両方において、大学、市中研修病院、地域医師会の各要職にあるキーパーソン37 人に対してインタビュー調査を実施した。
  • 医学部5・6年生の臨床実習が不十分になっている大学は少なくない。医師国家試験対策のために、臨床実習の十分な期間が確保されていない。法的な問題、指導医の不足、患者の理解不足、医学生のレベルの低さなどの問題から、臨床実習が参加型ではなく見学型になっている。
  • 臨床実習ライセンス化については、賛否両論がある。反対意見では、責任の在り方が問題にされている。
  • 現行の医師国家試験は知識偏重であり、態度・技能面のチェックが不十分である。実技テストの導入が議論されている
  • 禁忌肢問題の廃止、相対評価による合否判定は重要な検討事項かもしれない。
  • 現状の初期臨床研修制度は、教育研修面では概ね良いと評価されている。
  • 将来の専門科を決めてから初期臨床研修に入る方が望ましいという見解が多い。
  • 初期臨床研修を効果的なものにするためには、屋根瓦方式の指導組織体制が高く評価されている。
  • マッチング制度の評判は良くない。各研修病院の初期研修の教育体制が整備されないうちに拙速に導入されてしまったという評価である。
  • 臨床実習のライセンス化、医師国家試験の臨床への集中、初期対応力養成を基本とした柔軟な初期臨床研修制度の運用の3つを**仮説的に**提示する。

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