ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 227 2011-02-22

国の連結決算と社会保障費
−2009年度決算から2011年度予算案まで−

 

  • 2010年12月、2011年度の政府予算案が92.4兆円、うち社会保障費が28.7兆円と発表された。これは一般会計の部分だけである。2010年11月には、2009年度決算が発表されたが、ほとんど注目されていない。
  • 2009年度決算から推計すると、一般会計と特別会計を統合し、重複を控除した連結歳入額は254兆円、連結歳出額は213兆円、うち連結社会保障費は73兆円であった。
  • 連結社会保障費の構成比は、2009年度決算では、年金給付56.9%、医療給付19.4%、介護給付2.7%、その他21.0%であった。2009年度は、雇用対策関連の費用が増加し、医療給付費の構成比は相対的に減少した。
  • 一般会計の2009年度の社会保障費の構成比は、年金34.3%、医療27.4%、介護6.8%、その他31.5%である。ここ数年、年金の構成比は増加してきているが、医療、介護の構成比はほとんど変化しておらず、2008年度から2009年度にかけては縮小した。
  • 特別会計の収入は、主として、一般会計からの受入(保険給付費の国庫負担分として受け入れ)と保険料収入である。社会保障関係の特別会計の保険料収入は、雇用情勢の悪化により賃金水準が低下したため、2008年度から2009年度に減少した。保険料収入は、社会保障費の財源として、重要な財源である。保険料収入の確保のためにも、まずは医療や介護に財源を投入し、雇用を創出することが望まれる。
  • 消費税収(国分)は、現在でも、一般会計の予算総則で、年金、高齢者医療、介護の国庫負担分に充てることが決まっているが、消費税収は、必要費用に対して大幅に不足している。そのため、ここにきて消費税率引き上げの議論が急である。しかし、その前に、現在の消費税の仕組みを理解しておくべきである。たとえば、消費税収がいまも使途を決められていること、年金、高齢者医療、介護の国庫負担が1対0.5対0.2であること、現在の5%のうち国分は2.82%であること、医療(診療報酬)が非課税であることなどである。政府に対し、国民に徹底的かつ早急に説明することを求めたい

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