ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 229 2011-02-24

2010年度上期の医療保険医療費の分析
−2010年度診療報酬改定後の動向−

 

  • 2010(平成22)年度の診療報酬改定率は、医科入院+3.03%、医科入院外+0.31%であり、医科入院:医科入院外=1:0.1であった。しかし、2010年度上期の医療保険医療費の伸びは、医科入院:医科入院外=1:0.3であった。入院外では、病院が+2.9%、診療所は+1.1%であった。
  • 医療費の伸び率から診療報酬改定率を除いたものを自然増とすると、自然増は、医科入院で+3.6%、医科入院外で+1.5%であった。
  • 病院・診療所別では、医療保険医療費の対前年同期比は、病院+5.7%、診療所+1.2%であり、病院:診療所=1:0.2であった。
  • 入院の医療保険医療費の伸び率は、大学病院、500床以上の病院で特に高かった。
  • 有床診療所の1施設当たり入院医療保険医療費は、大学病院を上回る伸びを示したが、有床診療所は、もともとの医療費単価が低い点にも考慮しておく必要がある。有床診療所の1日当たり入院医療保険医療費は、中小病院の約7割である。
  • 診療所の医療費の伸び率は、診療科ごとにばらつきがあるが、もともと1施設当たりの医療費、患者数、1日当たり医療費等が大きく異なることを考慮しておく必要がある。また、医療費(保険診療収入)の違いには、従業員数や費用構成、投資コストの違い等が反映されている。逆にいえば、医療費の伸び率を見る際には、診療科ごとの特性を踏まえる必要があることが確認された。

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