ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 235 2011-06-09

地方の中小病院の現状について
−入院基本料15対1に注目した分析−
(自治体病院の例)

 

  • 不採算地区では、15対1の病院が3割近くを占める。平均病床数63床の小規模病院である。
  • 不採算地区の15対1には、施設基準以上の平均在院日数をクリアしている病院も少なくない。准看護師、看護補助者を含めれば、13対1よりも多い看護職員数が確保されている。看護師割合の要件を満たせずに、15対1に止まっている病院もあるものと推察される。
  • 立地条件および入院基本料別に見ると、不採算地区の15対1の赤字幅がもっとも大きい。医業収入や入院単価が低く、収入に比べて職員数が多いためである。実際にかかっている労働量に比べて収入が少ない(診療報酬が低い)とも言える。
  • 本稿は、自治体病院を例に看護基準別の分析を行なったものであるが、民間病院の15対1もきわめて経営が厳しいものと考えられる。地方においては、看護職員、特に看護師の確保が困難であると推察されることから、実態に応じた要件の見直しも必要である。
  • 不採算地区の15対1の8割以上は救急告示病院であり、中医協の調査からも、13対1や15対1が救急医療等を担っていることが明らかである。地方の急性期入院医療を維持するためには、地域特性やその地域において果たしている役割も、適切に評価していくべきである。

18頁のグラフに間違いがありましたので2012年1月5日に差し替えております。

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