ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 233 2011-07-05

在宅医療を担う診療所の現状と課題
ー 「診療所の在宅医療機能に関する調査」の結果から ー

 

  • 全国の在宅療養支援診療所(以下、届出あり)および、在宅療養支援診療所以外で在宅医療を行っている診療所(以下、届出なし)を対象に、在宅医療への関与や、実施している在宅医療の提供内容および対象患者の状態等の把握を目的にアンケート調査を行った(対象3,905施設。有効回答1,446施設、有効回答率37.0%)。調査時点に在宅医療を行っていなかった224施設を除いた1,222施設を在宅医療の実態についての分析対象とした(届出あり764施設、届出なし458施設)。
  • 在宅療養支援診療所の届出を行っていない施設でも、自院で受け入れることができないとする傷病や医学管理・処置の状況は、在宅療養支援診療所と比べても遜色はなかった。しかし、今後在宅医療を縮小する方針の施設は2割近くあり、在宅療養支援診療所以上にモチベーションの維持が困難な現状がうかがえた。
  • 在宅医療を持続的に提供する体制を構築するためには、後方支援となる有床診療所や在宅療養支援病院との連携の強化が重要である。24時間の在宅療養支援の体制と、病床を併せ持つ有床診療所や在宅療養支援病院が連携することができれば、在宅医療の裾野が広がる可能性がある。併せて、かかりつけ医はこれまで以上に、地域包括ケアにおいてのリーダシップと関与が求められる。かかりつけ医が率先して、他職種とともに「顔の見える連携」地域に構築することができれば、地域全体の在宅医療提供の質の向上と、在宅患者のQOL(生活の質)の向上に寄与することができるであろう。

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