ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 238 2011-08-08

病床規模別にみた病院の現状
− 2010年度診療報酬改定後の中小病院に着目して −

 

  • 2010年度の診療報酬改定は、急性期入院医療に手厚い改定であったが、地方にあって慢性期に近い医療も提供している中小一般病院には、あまり成果がなかった可能性もある。そこで、診療報酬改定前後の中小病院の診療内容等も含めて、診療報酬改定の影響を概観した。
  • 診療報酬の中には、外来診療料など、200床で区分されているものがいくつかある。しかし、今回の分析から、病院はその特性から、「20〜99床」、「100〜299床」、「300床以上」の3つに区分されるのではないかと考えられた。特に、200〜299床の診療内容には、「中小病院」に分類される100〜199床に近い傾向が見られた。診療報酬上の病床区分には再考の余地があるのではないだろうか。また、診療報酬が病床規模によって異なること自体についても、あらためて議論が必要かと考える。
  • 2010年度の診療報酬改定後の医療費の動向を見ると、病床規模400床以上の病院には、かなりの改定効果があったといえる。一方で、病床規模50〜299床の病院では、改定の効果はあまり見られなかった。特に100〜199床の病院で入院の伸びが抑制されていた。また、入院外では、1日当たり入院外医療費が、300床以上の病院では2006年度の1.2倍以上になっているのに対し、300床未満の病院では1.1倍台に止まっていた。
  • 2010年度の診療報酬改定では、中小病院が取り残されており、今後は、中小病院への財源配分が課題である。また、200床台の病院が、中小病院と大規模病院の狭間に陥っていないか、引き続き注視したい。

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