ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 243 2011-11-08

地域医療支援病院の現状分析

 

  • 地域医療支援病院は、創設当初は紹介率を重視した要件であり、医師会病院を中心に承認されていた。しかし、2004 年の要件緩和後、国公立病院を中心に承認数が拡大している。
  • 紹介率は、医師会病院では80%強、国公立病院では70%前後と乖離が大きい。また紹介率には救急患者の数も含んでおり、紹介患者だけの紹介率は医師会70%強、国公立病院では50%台である。
  • 地域医療支援病院は、重症の救急患者に対して医療を提供しなければならない。救急患者のうち入院を要した患者に着目すると、医師会は30%台半ば、国公立病院は20%台後半である。
  • 地域医療支援病院は共同利用可能な病床を確保しなければならないが、国公立病院は病床数も少なく、病床の共同利用率も低い。
  • 地域医療支援病院は、地域の医師等に対する研修を行なうことになっているが、研修参加者のほとんどが自院の医師等であるという病院もある。
  • 地域医療支援病院は、紹介患者に対する医療の提供を求められていることから、他の病院と比べて、外来入院患者比率が低い(外来患者が少ない)のではないかと思われたが、実態はまったく逆であった。
  • 現在、地域医療支援病院は、外形的な要件は満たしているものの、その実態は様々であり、要件の達成状況に大きな差がある。厚生労働省は、外形的な要件だけではなく実態についても十分にフォローをし、今後のあり方の検討に資する情報を提供すべきである。その上で、地域医療支援病院の承認数が地域に偏在したまま急増しているため、早急に、創設当初の趣旨に立ち返るのか、方向転換するのかも含めて、地域医療支援病院のあり方の再確認、見直しが必要である。

ダウンロード  (約 458 KB)