ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 246 2012-01-13

TKC 医業経営指標に基づく動態分析
−2010 年4 月〜2011 年3 月期決算−

 

  • 2010 年度の保険診療収益は、全体的には改善傾向であり、その前年比は、病院+3.5%、診療所+0.4%であった。客体施設の決算月はさまざまであり、介護報酬も含むデータであることから、経営指標は、平成22 年4 月の診療報酬改定を純粋に反映するものではないが、相当程度、改定に呼応する結果がみられた。
  • 保険診療収益の前年比は、一般病院+3.9%、精神科病院+1.6%、有床診療所+0.9%、無床診療所+0.3%と、一般病院に集中し、診療所は微増にとどまった。
  • 精神科病院は保険診療収益の伸びが1.6%にとどまり、人件費率の上昇を吸収できず、利益率が低下する結果となった。
  • 一般病院でも精神科病院でも人件費率の上昇は同様に起こった。一般病院は材料費と経費の比率の圧縮によってこれを吸収し、利益率が改善した。一方、精神科病院は材料費と経費の比率を圧縮出来ず、利益率が悪化した。
  • 産婦人科の有床診療所では、経常利益率が、法人、個人ともに高い水準まで改善した。産婦人科は有床診療所の中で客体数が多く、この改善は平均値に大きく影響しているが、診療報酬上の評価とは別の要因による部分が大きい。
  • よって、有床診療所の経常利益率の平均などを見る際には、必要に応じて産婦人科を除く診療科の平均データを参照するなど、注意する必要がある。

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