ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 251 2012-03-16

医師会共同利用施設 地域包括支援センターおよび在宅介護支援センターの
活動状況と連携に関する実態調査

 

  • 地域包括支援センターは、2005年の介護保険法改正で制定された、地域住民の保健・福祉・医療の向上を目的として、地域の高齢者などに対する介護予防マネジメント、権利擁護、虐待防止などを総合的に行う機関であり、各区市町村(保険者)に設置されている。2010年4月現在、全国で4,065か所であり、全ての保険者に設置されている。
  • 医師会共同利用施設の地域包括支援センターと在宅介護支援センターは、全国で114か所であるが、在宅介護支援センターの時代から地域の総合相談機能を担ってきた。そこで、地域包括ケア体制の整備が進められているなかで、医師会共同利用施設であるセンターの活動状況や連携に関する課題について把握することを目的として、アンケート調査を実施した。
  • 地域包括支援センターの職種別の人員配置状況をみると、全国の平均的な規模より多く、相談件数も多かった。在宅介護支援センターでも、相談件数が全国平均と比べて多かった。在宅介護支援センターは、地域包括支援センターと比べて規模が小さく相談機能も限られてはいたが、地域包括支援センターのブランチ機能を担っている事業所や、今後地域包括支援センターへ移行する事業所もあることから、全体としては、地域包括ケアへの関与を強化していく方向性である。
  • 両センターに共通する特徴として、医師との連携に対する意識が高く、連携がうまくいっている様子が本調査から明確に読み取れた。また、地域ケア会議についても各々7割の事業所が実施しており、連携活動への取り組みも多いこともわかった。地域包括ケアを展開する上で、医師会員が協働できる拠点のひとつとして地域への貢献が大いに期待される。
  • センターの運営課題として、人材の確保、財源不足などの経営上の課題が上位に挙げられていた。他の介護保険事業を行う医師会共同利用施設でも挙げられる課題でもある。今後、地域包括支援センター等が期待された機能を十分に発揮できるよう、財源や業務のあり方等についての議論を深めていく必要がある。

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