ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 252 2012-03-27

病院の在宅医療機能および退院支援に関する実態調査

 

  • 本調査は、全国の200床未満の中小病院における在宅医療(訪問診療または往診)や退院支援に関する取り組みの現状把握、ならびに今後の在宅医療のあり方を検討するための基礎資料作成を目的として、2011年11月中旬〜12月上旬にかけて行ったものである。対象施設は全国の在宅療養支援病院437施設を含む200床未満の病院で、計1,931施設であった(有効回収数607施設。有効回収率31.4%)。
  • 在宅療養支援病院(以下、在支病)の2011年10月の実績は、訪問診療実施が88.7%(在支病以外36.4%)、平均実施件数が56.0件であった。夜間や時間外等の緊急時の往診の実施・患者の自宅での看取りの実施が各々55.7%(在支病以外9.8%)、在宅療養患者の緊急一時入院の受け入れの実施が73.9%(在支病以外31.1%)、レスパイト入院が41.7%(在支病以外20.7%)であった。いずれの実績も在支病以外と比べて高い実績となっていた。在宅療養支援病院以外の場合でも、訪問診療の実施は約4割で、平均実施件数は29.6件などであった。
  • 退院調整を行う専門の部門については、在支病の71.3%、在支病以外の61.8%が設置していた。また、退院調整部門の機能により、ケアマネジャーとの連携や退院時等のカンファレス開催などの連携促進に一定の効果をもたらしている可能性が確認された。さらに、主な機関との連携の必要性についての認識と実際の連携においても、退院調整部門が設置されている病院のほうが、連携の必要性に関する認識が高く、実際に連携している割合が高かった。
  • 在宅医療の実施や在宅療養患者の受け皿か否かに関わらない共通の課題として、「院内学習等を通じた(患者の)在宅移行への取り組みについての共通認識ができていないこと、「地域連携パスの参画、「看護師の確保ができていない」という回答が半数を超えていた。在宅医療や在宅療養患者の受け皿となっている病院固有の課題には、「自院で行っている在宅医療の取り組みについて、地域住民に十分理解がされていないこと」や、「在宅医療に従事するスタッフのレベルアップ研修等の機会が十分に得られていないということ」が挙げられ、いずれも半数以上を占めていた。一方、在宅医療や在宅療養患者の受け皿になっていない病院の固有の課題としては、「在宅医療に従事する医師が十分確保できていないこと」が6割弱、「退院時のカンファレンスを実施できていないこと」などが5割弱を占めた。
  • 平成24年度以降の方針を既決している病院が全体の35.9%で、そのうちの約7割が関与を増やしていくと回答していた。
  • 重視する在宅医療の具体的な内容をみると、在支病や在支病以外で入院、レスパイト、訪問のいずれか1つ以上を行っている病院では、「訪問診療等、「在宅療養患者の緊急一時入院」の実施予定が7割以上を占めていた。一方で、在支病以外で入院、レスパイト、訪問のいずれも行っていない病院では、最も多かった在宅療養患者の緊急一時入院の実施についても4割弱にとどまっており、在宅医療への取り組みを考えていないという回答が3割弱を占めていた。

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