ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 261 2012-07-10

都市部における 二次救急医療を担う民間病院の課題:
インタビュー調査から考える

 

  • 都市部において二次救急医療を担う民間病院の経営課題とその背後にある政策的課題を抽出・整理・分析することを目的として、東京・大阪・福岡の二次救急病院(計18施設)を対象に、インタビュー調査を実施した。
  • マクロの医療政策の課題としては、民間病院の役割についての世間の認識不足、それらに対する不十分な政策的支援、財源調達における困難という政治的な解決が必要な課題。そして、二次救急医療機関の実態把握の難しさ、官民の棲み分け、地域における官民協働という行政との連携を必要とする課題がある。ミクロの病院経営の課題としては、宿日直人件費に関わる不採算性、補助金の絶対額不足、救急撤退の意思決定に伴う困難、競争環境の変化に伴う救急部門存続メリットの縮小という病院の経営戦略上の課題。そして、人材確保の困難、専門以外を診れない医師の増加、現場を混乱させる難しい患者への対応という救急医療の運営上の課題がある。
  • その他、患者側の救急医療に対する認識と受療行動に関わる課題、救急医療を担う医師の育成に関わる課題、中小病院間の連携に関わる課題がある。
  • わが国では、高齢化に伴い救急医療へのニーズが年々高くなっており、今後も20年以上に渡って増加傾向が続くと見込まれている。二次救急における民間病院の役割を重視する方向を鮮明にし、これらの課題解決を図るべきである。

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