ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 262 2012-08-08

2012年度 診療報酬改定についての調査結果報告

 

  • 一般病棟入院基本料
    看護配置基準を満たすことが困難であるとの回答が多く、看護師の採用も5年ぐらい前に比べて、さらに困難になっている。夜勤72時間ルールの是正要望もあった。看護配置要件のあり方について、検討を要する。
  • 回復期リハビリテーション病棟入院料
    看護必要度の基準を満たす患者の割合、重症患者の割合を満たすことが困難である。重症患者の割合については、一般病棟入院基本料7対1でも達成困難である。重症患者を集約化しなければ成り立たないような要件になっているが、患者アクセスは不便になる。さらに、重症患者であるがゆえに回復が難しく、また受け皿がないこともあって、在宅復帰率も達成困難になっている。
  • 管理栄養士の配置
    有床診療所の約5割は、管理栄養士の配置の目処が立ってない。特に小児科ではすべて、眼科では9割以上、また地域別では九州地方の約6割の施設で配置の目処が立っておらず、見直しが必要である。
  • 在宅医療
    今後、新たに在宅療養支援診療所を届出ようという診療所は少ない。24時間の対応が困難であり、連携しようにも「頼みにくい」。在宅医療を行う医師の交流や、円滑な連携に向けての支援が必要である。また、在支診ではなくても、かかりつけの医師として緊急往診や看取りを行っているところについては、適切な評価が求められる。
    また、中小病院で、今後在宅療養支援病院を目指す施設が少なくない。在宅医療における病院と診療所の役割分担、連携のあり方を検討する必要がある。
  • 時間外対応加算
    約3割の診療所が届出をしているが、今後、新たに届出をしようという診療所は少ない。2012年度改定で、対応すべき時間帯や患者が明確化されたが、依然として負担増への懸念があり、実際に、時間外対応加算を算定している診療所の負担が増加している。
  • 一般名処方加算
    算定していない診療所では、「患者にとってわかりづらい」ことを問題にしている。患者が一般名処方についてよく理解していないままに拡大していく懸念がある。
  • 初・再診料
    2012年度改定では据え置きであったため、今回調査では質問項目を設定しなかったが、非常に多くの引き上げ要望が寄せられた。その理由として、第一に医師の技術料そのものであるという指摘、第二に患者の受療行動や意識が変化し診療密度が高まっていることを評価すべきという意見であった。

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