ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 274 2013-02-27

地域医療支援病院制度についての都道府県医師会アンケート調査結果

 

  • 地域医療支援病院制度について、都道府県医師会の7 割以上は、制度を見直すべきとの回答であった。
  • 現行の診療報酬についても、見直すべきあるいは補助金で対応すべきという意見が半数以上であった。診療報酬目的で地域医療支援病院の承認を受けることは問題であるとの意見もあった。
  • 地域医療支援病院は、かかりつけ医の支援を目的に創設されたが、その承認にあたって、地域医療を代表する都道府県医師会の意見が反映されないところが半数近くであった。また承認後の実績について情報の提供がないところが半数以上であった。
  • 紹介率、逆紹介率についてはおおむね高く評価されていた。特に医師会病院については高い評価であった。また地方よりも都市部での評価が高かった。地方では、紹介元、逆紹介先となるかかりつけ医が少なく、紹介率、逆紹介率を満たすことが困難なので要件を緩和してほしいとの意見があった。しかしながら、地域医療支援病院の本来の趣旨はかかりつけ医の支援であるので、支援すべきかかりつけ医の少ない地域でのあり方については、別途検討が必要である。
  • また紹介率、逆紹介率については、承認要件は満たしているが、いわゆる門前クリニックなど特定の医療機関からの紹介になっているとの指摘があった。
  • 共同利用については、一般の診療所が急性期病院の病床や設備を利用することは難しいといった意見があった。
  • 在宅医療の支援については、今後の課題であるという声が多かった。また急性期病院に在宅医療支援の役割を担わせることには無理があるのではないかといった意見も見られた。
  • 今回の調査結果を通じて、地域医療支援病院の中には、次のような病院があるのではないかと推察された。
    • 都市部で救急医療を評価されている大規模急性期病院
    • 医師会病院のように紹介率を評価されている病院
  • 今後、地域医療支援病院制度を見直す場合、たとえば次のような方向性が考えられる。
    第一に、現行制度を原則維持し、承認要件などの見直しを行っていくという考え方である。特に紹介率・逆紹介率は2004 年に緩和されたが、かかりつけ医を支援するという地域医療支援病院本来の趣旨に立ち返って、以前の水準に戻すべきとの意見がある。
    第二に、地域医療支援病院の制度は残すが、経済的なインセンティブは、地域医療支援病院入院診療加算やDPC 機能評価係数Ⅰのように、地域医療支援病院自体に付与するのではなく、個々の診療内容に対して与えるという考え方である。
    また、地域医療支援病院では2007 年に在宅医療の支援が義務化されたが、2008 年に診療報酬上に創設された在宅療養支援病院との機能分担が明確ではない。医療提供体制全体の中での位置づけの再整理も必要である。

ダウンロード  (約 642 KB)