ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 278 2013-04-11

介護保険サービス提供の動向
−2010年4月から2012年10月まで−

 

最近の介護保険サービスの提供状況を把握し、サービス提供上の課題を明らかにするための基礎資料に資する目的で、厚生労働省の公表している介護保険統計「介護給付費実態調査月報」を用いて、2010年4月から2012年10月分までの介護保険サービス提供の実態(認定者の状況、サービスの受給者の状況、介護費用の状況、サービス種類別にみた受給者および費用額の状況)を分析した。

 

1.介護保険サービスの受給状況の概要(以下は、2012年10月の状況)

  • 全国のサービス受給者数は459.6万人であった。また、65歳以上人口に占める介護保険サービス受給者数の割合(サービス受給率)は、14.6%であり、うち約7割が女性であった。性別年齢階級別でみると、女性85歳以上が37.8%、女性75〜84歳が25.5%、男性75〜84歳が12.3%などの順であった。
  • 要介護度別受給者数の割合をみると、要支援21.5%、要介護2が19.6%、要介護1が18.5%、要介護3が15.1%、要介護4が13.7%、要介護5が11.7%の順であった。サービス体系別にみると、居宅サービスが76.5%で最も多く、施設サービス19.4%、地域密着型サービス7.5%の順であった(複数サービス受給のため重複計上あり)。この時期の受給者数の対前年同月比をみると、地域密着型サービスの伸びが最も大きく11.6%、次いで居宅サービス6.2%、施設サービス2.6%の順であった。
  • 居宅サービスおける占有率:訪問通所系では、通所介護が最も多く44.7%、次いで、訪問介護38.5%、通所リハ15.2%、訪問看護9.2%、訪問入浴介護2.4%、訪問リハ2.3%の順であり、短期入所系では、短期入所生活介護が9.0%、短期入所療養介護が1.6%であった。
  • 地域密着型サービスにおける占有率は、認知症対応型生活介護50.1%、小規模多機能型生活介護20%、認知症対応型通所介護18%、地域密着型介護老人福祉施設7.2%、夜間対応型訪問介護2.3%、地域密着型特定施設入所者生活介護1.5%などの順であった。
  • 施設サービスにおける占有率は、介護老人福祉施設が50.3%、介護老人保健施設38.7%、介護療養型医療施設8.7%の順であった。介護療養型医療施設の施設数は近年減少を続けており、2012年10月における施設数の対前年同月比は-6.8%であった。

2.平成24年度介護報酬改定の影響

  • 平成24年度介護報酬改定の影響については、個別サービスに若干の変化がみられていた。今年度10月の訪問リハの1人当たりの月間受給回数は、どの要介護度でも、対前年同月比で約1回の増加であった。訪問看護でも、理学療法士等の訪問回数の顕著に増加していた。一方、通所介護では、家族支援のための通所介護の長時間利用のニーズは高く、7時間以上の利用回数の割合が8割以上を占めていた。通所リハでも、個別リハビリテーション機能を充実させるための報酬改定による評価が行われたが、6時間以上の長時間の利用回数が多数を占め、短時間リハの利用状況の明確な変化は見られなかった。

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