ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 285 2013-06-12

2012年 医師会病院の公的医療機関への位置づけに関する研究
〜地域住民を対象としたアンケート調査からみた医師会病院の
公的医療機関としての位置づけ〜

 

  • 本研究は、平成23年度に行った、医師会病院を「公的医療機関」として医療法上の位置づけることに関する研究(ワーキングペーパーNO.249「2011年 医師会病院の公的医療機関への位置づけに関する研究」−島根県益田市民を対象としたアンケート調査による益田市医師会病院の公的医療機関への位置づけに関する検証−)の継続研究である。
  • すなわち、医師会病院の機能・役割等を、既存の赤十字病院等公的医療機関と比較する等評価するとともに、地域住民からみた「医師会病院」の評価・位置づけを「住民アンケート調査」によって明らかにする等して、医師会病院を「公的医療機関」として医療法上位置づけることに資するとともに、「共同利用施設検討委員会」での検討に資することを目的とした。
  • そして本研究は、下記の3医師会病院を対象として、平成23年度に行った益田地域医療センター医師会病院と同様の検討を行ったものである。
    ○ 赤磐医師会病院(岡山県赤磐市)
    ○ 曽於郡医師会立病院(鹿児島県曽於市)
    ○ 鳥取県中部医師会立三朝温泉病院(鳥取県三朝町)
    なお分析に際しては、既に行っている益田地域医療センター医師会病院の 研究結果(ワーキングペーパーNO.249「2011年 医師会病院の公的医療機関への位置づけに関する研究」)についても、併せて示し分析を行った。
  • この研究は、下記のような(1)〜(3)の方法により行った。
    (1)地域住民を対象とした医師会病院の公的医療機関としての評価に関する住民アンケート調査の実施、(2)行政の協力による住民アンケート調査の実施、(3)日本医師会・県医師会・郡市医師会共同で住民アンケート調査を実施。
  • 地域住民を対象としたアンケート調査結果
    1. 地域住民は、制定後約60年経過した「公的医療機関」への「重点的な財政的及び人的支援の仕組み」を否定し、その指定対象は見直されるべきとの意見が大勢。
      すなわち、地域住民のほとんどの意向として、現状の「制定後約60年経過した『公的医療機関』への『重点的な財政的及び人的支援の仕組み』」については否定していて、これを受け「公的医療機関の指定のあり方について」についても、「公的医療機関の指定の対象については見直すべきである」としている。(図3-6-1、3)
    2. 今後の方向性の一つとして、県知事等が地域に貢献している医療機関を「公的医療機関」として国に指定してもらい、「医師会病院」は「公的医療機関」と同様に支援されるべきとの意見が地域住民の大勢。
      すなわち、「医師会病院」への「国、県等(市)の行政による支援の必要性」についても、ほとんどの地域住民が「支援すべきである」という意見であり、また「『公的医療機関』と比較した医師会病院への行政の支援形態」について聞いたところ、やはりほとんどの地域住民が「『公的医療機関の病院』と同じ支援形態とすべきである」という意見であった。(図3-6-7、9)
    3. 「医師会病院」における産婦人科開設希望と医師を確保できる環境を整えるべきとの意見も地域住民の大勢。
      すなわち、地方における住民の課題として、中核病院において現在里帰り分娩が出来ない状況にあり、里帰り分娩が出来る医療環境整備が求められている。
      そこで、「医師会病院を公的医療機関に指定し,産婦人科医師を確保できる環境を整える考え方について」聞いたところ、ほとんどの地域住民の賛成を得た。(図3-6-13)
    4. 「医師会病院」を「公的医療機関」として位置づけるための方策を推進することが重要。
      今後はこうした方向性や地域住民の意向をふまえ、「医師会病院」を「公的医療機関」として位置づけるための方策を推進することが重要と考える。

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