ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 286 2013-06-27

TPP に関する一般紙社説の変遷について

 

  • 2010 年3 月、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8 か国で、TPP 交渉が始まった。
  • TPP 交渉スタート当初、一般紙では農業分野への懸念事項は報道されていたが、TPP と医療の関係については、まったく触れられていなかった。各方面から国民皆保険を揺るがす懸念が指摘されても、それは「疑念」「誤解」とされてきた。
  • 日本がTPP 交渉参加を表明したのは2013 年3 月であるが、この頃から、ようやくTPP が日本の国民皆保険を揺るがすおそれもあるという報道も見られるようになった。
  • こうした報道の変化は、関係団体や有識者が根気強く、その懸念を訴えつづけてきた成果といって良いだろう。このことは、TPP に限らず、正攻法としての粘り強い説得が、マスメディア、ひいては世論を動かすことを、あらためて確認させてくれたように思われる。
  • もちろん、TPP については、さまざまな懸念は払しょくされていないが、現政権は、国民皆保険を堅持することを約束している。政府がTPP 交渉の場で粘り強く交渉し、その内容を、国民に丁寧に説明していくよう願っている。

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