ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 297 2013-10-22

大規模災害への対応にかかる提言等支援のための研究
−平時の法律の想定を超える
「大規模災害の緊急非常事態対処法」の制定等を−

 

  • 本研究は、平成23 年4 月22 日政府の被災者生活支援特別対策本部からの協力要請を受けて、東日本大震災の被災者の健康を支援することを目的として設置された、「被災者健康支援連絡協議会」(19 組織(34 団体)、以下「協議会」とも言う)における、今後起るであろう「大規模災害への対応にかかる提言及び要望書」策定を支援するために行ったものである。
  • 協議会および各構成団体で蓄積されたノウハウを、今後起こるかもしれない大規模災害対策に資するとともに、国への提言・要望をとりまとめるという考え方の基に、下記のようなプロセスによって検討を行った。

1) 各構成団体による平成24 年10 月1 日時点での、「東日本大震災における被災者健康支援の問題点」抽出。

2) 各構成団体による「東日本大震災における被災者健康支援の問題点」を踏まえ、大規模災害に備えた対応策を抽出。

3) 抽出された「東日本大震災における被災者健康支援の問題点」を、まず個別具体的な項目に分けた上で、これらを小項目・中項目・大項目のカテゴリー(分野)に系統化。

4) 前記カテゴリー毎に、被災者健康支援の問題点やその発生時期・期間、および対応策を整理。

5) 各構成団体により、被災者健康支援の法的問題点の解消と、対応策実現のための法改正等を抽出。

6) 国の関係機関と、被災者健康支援の法的問題点の解消と、対応策実現のための法改正等に関する協議とその結果のとりまとめ。

7) 平時の法律の想定を超える『大規模災害の緊急非常事態対処法』の制定にかかる、被災現場の実態把握や法律等専門的視点からの検討。

8) 前記までの検討を総合的に把握した上で、国の大規模災害対策に資することを目的として、国への提言・要望をとりまとめ。

 

  • 「東日本大震災における被災者健康支援の問題点抽出」と「対応策等」の検討を踏まえ、研究の中間段階として、下記の項目からなる「大規模災害への対応にかかる提言及び要望書」のとりまとめを行った。これを受け、平成25 年4 月に協議会が古屋 圭司内閣府特命担当大臣(防災)に提出した、「大規模災害への対応にかかる提言及び要望書」が巻末の参考資料1 である。

1) 平時の法律の想定を超える『大規模災害の緊急非常事態対処法』の制定

2) 東日本大震災の教訓を踏まえた法的問題点等の解消と対応策の実現のための法改正等

3) 中央防災会議の委員に被災者健康支援連絡協議会の代表を任命

 

  • 「1) 平時の法律の想定を超える『大規模災害の緊急非常事態対処法』の制定」については、別途研究「平時の想定を超える大規模災害時の緊急事態対処法制の在り方について」を踏まえ、既存の法体系の上塗りと法と法の隙間を埋める新たな法律として、次のような提言の整理を行った。

1) 大規模災害による緊急事態が発生した場合、「現場」への大幅な権限委譲を

2) 大規模災害時に委譲すべき権限の範囲は、緊急時の医療提供関係全てに

3) 中央防災会議の委員に被災者健康支援連絡協議会の代表を任命

4) 「判断は現場に、責任は国に」という仕組みに

5) 患者の生命を守るため他者の人権等を侵害せざるを得ない場合には、緊急避難の法理で対応

 

  • また「2) 東日本大震災の教訓を踏まえた法的問題点等の解消と対応策の実現のための法改正等」についても、協議会の各団体と国の担当部局とでの協議結果の整理を行った。
  • これら全てを協議会の最終提言案「今後の大規模災害への対応にかかる提言(案)」としてとりまとめたものが、巻末の参考資料2 である。

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