ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 301 2013-10-30

平成25年 有床診療所の現状調査

 

  • 全国に約9300施設ある有床診療所は、かかりつけ医が小規模な病床を持つことで、超高齢社会の中の医療や介護におけるさまざまな隙間を埋めることができる。抜本的な経営基盤の強化を行い、活用の道筋を作るべきである。
  • 本年10月に起こった有床診療所の火災事故は多くの犠牲者を出す惨事となった。小規模とはいえ入院施設として患者の安全を守ることは第一であり、診療所の開設者と行政、それぞれの立場で改めて責務を認識し、防火防災対策の強化を行うことが急務となっている。
  • 本調査は全国有床診療所連絡協議会会員を対象に継続的に実施しており、本年6月の調査では839施設(回収率30.4%)から回答を得た。法人施設の経常利益率は4.8%(n=251)で、全体の29.5%が赤字であった。平成23年調査との定点でみると経常利益率は微増しているものの、入院収入は減少、人件費比率が増加していた。入院に関わる費用を試行的に算出すると、入院費用が入院収入をやや上回っていた。1施設当たり平均医師数は2.0人で、1人医師は全体の37%を占めた。夜間の看護体制は平均1.4人であった。長期入院患者へも看護必要度やケアの必要度が高い傾向がみられた。
  • 今後の入院機能の充実のためには抜本的な対策が必要と思われる。そのうえで、有床診療所自身も地域の病院と地域の患者から選ばれる施設として入院医療の向上になお一層努めることが望まれる。

[2013.11.20 一部図表を追加]

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