ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 302 2013-11-07

医療機器市場の現状と特定保険医療材料の内外価格差に関する実態調査

 

  • 提言1.医療機器の新規保険収載において、外国価格参照制度の対象国であるオーストラリアの価格参照を見直すべきである。
  • 提言2.医療機関が医療機器をより適正な価格で購入するために、国は価格交渉力を高める最も有力な情報である「医療機器の実勢価格調査」の結果を医療機関に対して公表するべきである。
  • 提言3.国は、諸外国と互いに保険償還価格や公定価格、更には医療機関等による購入価格を閲覧できるしくみ作りや価格情報のやりとりに関する協定を締結し、これらの価格情報を活用した公定価格の算定のあり方を検討するべきである。
  • 世界の医療機器市場の規模はおよそ24.9兆円で、そのうち日本の医療機器市場はおよそ2.6兆円(10.5%)である。国別では、第1位のアメリカに次いで第2位の市場規模である。
  • ペースメーカーのうち、シングルチャンバやデュアルチャンバⅣ型における日本の償還価格は、アメリカやオーストラリアの最も安い製品の正味価格に対して3倍以上で、特にイタリアに対しては4倍以上であることから、大きな内外価格差が生じている。
  • 植込み型除細動器Ⅲ型では、日本の保険償還価格はアメリカ、オーストラリア、イタリアの最も安い製品の正味価格に対して、それぞれ6.04倍、2.15倍、3.39倍であったことから、特にアメリカやイタリアとの内外価格差が大きい。
  • 冠動脈ステントセット一般型における日本の保険償還価格は、アメリカやオーストラリアの最も安い製品の正味価格に対してそれぞれ6.08倍、6.53倍で、イタリアの正味価格に対しては9.96倍であることから、諸外国との間で大きな内外価格差が生じている。
  • イタリアにおける4種類の人工股関節用材料に対しては大きな内外価格差が生じている。特に「ステム」では、日本の保険償還価格は、最も安い製品に対して8.64倍であった。
  • アメリカでは、全人工股関節置換術の手術費用が11,100ドルから126,000ドルに及ぶとの調査結果があり、高い材料費が手術費用全体の高騰のひとつの要因であることが示唆される。

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