ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 304 2013-11-26

「第19 回医療経済実態調査報告 −平成25 年実施−」の分析

 

  • 一般病院では、医業収益は増加したものの、損益差額構成比(医業利益率に相当)は、医療法人では横ばい、国公立では上昇したものの依然として赤字であった。さらに税引後総損益差額構成比(税引後利益率に相当)で見ると、医療法人は公立病院の水準を下回った。
  • 一般診療所では、医業収益の伸びが1%強に止まり、損益差額構成比は入院収益ありの診療所(有床診療所)でやや低下した。
  • 特定機能病院の国公立以外は赤字を解消した。
  • DPC 病院は国公立を含む全体で損益差額構成比が1 ポイント上昇した。
  • 精神科病院は医業収益がほとんど伸びず、損益差額構成比が縮小した。
  • 一般病棟入院基本料7 対1 では、国公立、国公立以外ともに損益構成比が上昇した。15 対1 は国公立では大幅に赤字でかつ赤字幅が拡大し、国公立以外でも黒字幅は非常に小さく、かつ縮小した。
  • 療養病棟入院基本料を算定する病院は、いずれも損益差額構成比が縮小した。
  • 病院病床規模別では比較的医業収益が伸びた500 床以上でも、損益差額構成比は1 ポイント程度の改善にとどまった。また国公立以外でも200〜499 床の損益差額構成比は1%台という低い水準に止まっている。
  • 一般診療所では精神科、外科で医業収益が伸びず、損益差額構成比が低下した。入院収益ありの診療所(有床診療所)では、外科、産婦人科で損益差額構成比が縮小した。入院収益なしの診療所では、精神科、外科で損益差額構成比が縮小した。
  • 給与費は一般病院では全体で病院長給与費、医師1 人当たり給与費ともに上昇した。一般診療所では、医師1 人当たり給与費は上昇したが、院長給与は減少した。
  • 看護職員1 人当たり給与費は、国公立病院等で500 万円以上、医療法人で400 万円台、一般診療所で300 万円台と差があった。薬剤師1 人当たり給与費も、国公立病院等で600 万円以上、医療法人で500 万円台と差があった。なお1 人当たり給与費の平均値は、平均年齢や平均勤続年数の影響も受けやすい。
  • 保険薬局では全体的に損益差額構成比は縮小したが、病院に比べて利益幅が大きく、チェーン薬局(店舗数20 店舗以上)でより大きい。またチェーン薬局では薬剤師1 人当たり給与費がもっとも高く、かつ上昇率も高い。

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