ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 309 2014-04-02

民間介護保険に関する問題点
公的介護保険との関係性ならびに現物給付型商品解禁の議論に関する考察

 

第三分野の現物給付型の生命保険商品については、2010 年4月に施行された保険法の審議過程において金融審議会金融分科会第二部会「保険の基本問題に関するワーキング・グループ」がサービスの質の確保と、価格変動リスクへの懸念から解禁すべきではないと結論されたにもかかわらず、2012年6月からの金融庁金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」において、現物給付型保険についての議論が再燃した。大手生命保険会社から、医療、介護、保育、葬祭、人間ドックなどを対象とした現物給付型商品の提供に関する具体的スキームの提案がなされていた。そこで、わが国には公的介護保険制度が機能しており、民間介護保険としての現物給付型保険の問題点を明らかにしておく必要があると考え、民間保険の特徴や限界、公的保険との関係性について整理をしたうえで考察を行った。
 その結果、わが国の民間介護保険が販売当初から期待されている公的保険の補完機能を担うためには、現物給付型商品の開発以前に、保障の充実と保険業界全体の信頼性向上の取組みが課題となっていた。現物給付としての介護サービスや施設などの提携事業所も特定の地域に限られており、介護分野における現物給付型保険の現時点の実現性は極めて低いと考えられる。

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