ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 318 2014-06-06

一般用医薬品および一般用検査薬に対する意識調査結果

 

  • 生活習慣病のように比較的長期にわたる疾病の医薬品のスイッチ OTC化については反対意見が約 6 割である。今後についてもスイッチ OTC化は短期間服用する医薬品や外用薬に限定すべきという意見が約 6 割である。
  • スイッチ OTC 医薬品の拡大について、医療費の削減に役立つ、受診の手間が省けるといった意見もあったが、多くの医師は、症状が悪化するおそれがあることを懸念している。
  • スイッチ OTC 化の拡大は、医薬品についての国民の理解が十分に進んでいない現状では問題であるとの意見もある。
  • 一般用医薬品のインターネット販売について、心配と感じている医師が約 7 割である。特に用量・用法などを間違って服用するのではないかとの懸念が多い。
  • 一般用医薬品の副作用の頻度や重篤度について、医師のイメージは二分している。安全性に関する情報については不十分と考えられている。また、医薬品副作用被害救済制度があることを知っている医師は必ずしも多くない。医師に対する情報提供と理解の促進も必要である。
  • 自分で一般用検査薬を使用する場合、尿を採取する方法については比較的安全性が高いと考えられている。現在、妊娠、尿糖、尿蛋白について一般用検査薬が販売されている。いずれも比較的安全と考えられている尿を採取する方法である。陽性であれば医療機関を受診しているものと推察されるが、偽陰性の場合は、受診の機会が遅れるおそれがある。利用者に対し、偽陰性となることを周知し、理解を深める必要がある。
  • 2014 年 3 月、厚生労働省と経済産業省は、簡易な検査を行う場合、利用者が自ら検体を採取した血液を用い、民間事業者が、検査結果の事実や検査項目の一般的な基準値を通知することは適法であるとのガイドラインを発表した。また、血液を扱うことから運営責任者として医師、薬剤師、看護師又は臨床検査技師を常勤させることや廃棄等についてのガイドラインが示された 。しかし本調査では、一般の方が一般用検査薬を使用する場合の採取方法として、自分で指先から血液を採取する方法は、もっとも安全性が低いと考えられている。
  • 今回のアンケート調査では一般用医薬品および一般用検査薬の拡大について、医師として不安の声が大きいことが明らかになった。一般用医薬品および一般用検査薬のあり方については、国民の生命を守り、健康増進を図るという観点から、しっかりと時間をかけて検討し、国民の理解を十分に得て進めていかなければならないと考える。

※以下の図について、開設者と勤務医師のデータが逆転していたため、修正し、6月19日に差し替えました。

  • 図 3.4.10、図 3.5.10、図 3.5.11

※また、あわせて、図 3.4.9に、その他、無回答の回答比率を加えました。

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