ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 320 2014-07-28

大手病院グループの経営状態について
-国立・公的医療機関など-

 

  • 2010 年度の診療報酬改定では、急性期入院医療に手厚く配分されたが、大手病院グループではその効果が顕著であり、現在も好調を維持している。このことは、いったん診療報酬上で差がつくと、その後、差が拡大しつづけることを示唆している。
  • 地域包括ケアシステム構築への流れの中で、大手病院グループは、地域医療支援病院の承認拡大を目指している。地域によっては、すでに地域医療支援病院の承認を受けている病院がある。大手病院グループの動きいかんで、紹介元、逆紹介先医療機関の引き抜き、囲い込みが起きることも懸念される。
  • 大手病院グループといえども、へき地など立地条件に恵まれないところでは、経営は苦戦している。民間中小病院の経営がなおさら厳しいことは容易に推察できる。診療報酬を補完する財政支援も必要である。
  • 今後は、国立病院と民間病院との連携もあるかもしれない。その際は、独立した法人とはいえ、「国立」としての立場から、民間医療機関との友好的な連携、経営ノウハウの共有を目指していってほしい。
  • 今後、大手病院グループ主導の病院再編にならないよう、国が都道府県行政に対し、新たな基金の官民公平な配分と、地域医療ビジョンの「協議の場」などで地域医療現場の意見を踏まえることの徹底を図っていくことが望まれる。

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