ワーキングペーパー

ワーキングペーパーNo. 324 2014-10-01

原子力発電所災害時の避難指示等の情報伝達と
安定ヨウ素剤の服用に関する研究
-原発事故の『情報災害』への対応と実効性のある
『安定ヨウ素剤』の配布・服用-

 

  1. ) 「福島第一原発事故による福島県民等の被災」は「情報災害」という問題意識から、「原発事故事象の経過と国等の対応」、「国や自治体における事故発生連絡・避難指示及び住民避難」、さらには「安定ヨウ素剤の配布・服用指示」等の実態分析と問題点の評価により、今後再稼働が予定される原発事故に備えた、「情報災害への対応と実効性のある安定ヨウ素剤の配布・服用」の実現のために行ったものである。
  2. ) その際、放射性物質が最も多く拡散した 3 月 15 日の敷地内の平均風速 1.6m/s の場合でも、放射性物質は約 5 時間で「UPZ 緊急時防護措置を準備する区域」外縁の約 30km まで到達し、事故情報の提供や避難指示等は一刻一秒を争うことから、こうした時間意識で国等による情報提供等対応の実態を評価した。
  3. ) このような検討結果から、「福島第一原発事故の検証見直しと『原子力災害対策指針』への反映」に関し、下記のような提言を行うものである。
    (1)福島第一原発事故の実態・問題点からみた「原子力災害対策指針」について
     1 「情報災害」回避への積極的対応を
     2 「30km 圏内」での原子力事業者の具体的な役割・分担を「指針」に明記を
     3 大規模地震等による原子力発電所災害に対し、「施設敷地緊急事態」と「全面緊急事態」は一体的対応を
     4 大規模地震の際は、何れの緊急事態においても 30km 圏内の全ての地方公共団体・公衆等へ緊急事態の情報提供を
     5 安定ヨウ素剤の事前配布を PAZ(予防的防護措置を準備する区域、5km 圏内)に止めず、UPZ(緊急時防護措置を準備する区域、30km圏内)・PPA(プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域、30km 圏外)まで配布を
    (2)医療提供者に対する情報連絡体制の見直し
    (3)より実効性のある安定ヨウ素剤の事前配布と服用のための計画が必要
     1 UPZ(緊急時防護措置を準備する区域、30km 圏内)・PPA(プルーム通過時の被ばくを避けるための防護措置を実施する地域、30km 圏外)の対象住民への事前配布体制の整備を
     2 国は事前配布・服用に関して『広く』医療関係者の意見を聞く場の設置を

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