リサーチレポート

リサーチレポートNo. 113 2021-09-13

診療所の診療科特性について(その1)
-診療所数、医師数、診療行為-

 

  • 医師をはじめとする医療資源の診療科偏在は、喫緊の課題とされつつ、現実には、分析に耐えうる診療科別のデータが整備されていない。本稿では、既存統計調査の問題点を示した上で、外来医療の議論の参考に資するよう、診療所に焦点を当ててさまざまな診療科別データを概観する。
  • 一般に「診療所数」と言ったときには、「医療施設調査」の施設数が使用されるが、保険診療を行なわない施設を含むので、注意が必要である。また、診療科は基本的に患者数の多い診療科が選択されており、必ずしも医師の専門性とは一致しない。
  • 医師数は、一般に主たる診療科の医師数が使用される。しかし、例えば内科の医師で小児科も診察できる医師は少なくない。政府統計の集計表では、このような詳細は示されておらず、地域の現場での情報が重要である。
  • 地域偏在としては、精神科施設および医師は都市圏集中、皮膚科は東京都一極集中という特徴がある。皮膚科医師は女性の選択が多く、女性医師の増加に伴って皮膚科の医師数が増加している。
  • 診療行為別(医療費ベース)では、2020年に新型コロナウイルス感染症による受診控えの影響で初・再診が激減しており、診療行為の構成が大幅に変化した。診療行為の構造的変化が一時的なものなのか、今後注視したい。

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