リサーチレポート

リサーチレポートNo. 131 2022-06-20

かかりつけ医機能を担う拠点としての診療所の動向
-「医療施設(静態・動態)調査」から-

前田 由美子

 

1.厚生労働省の「医療施設(静態・動態)調査」をもとに、診療所の動向を概観した。一般に「診療所数」といったときには同調査の施設数が用いられるが、これには保険診療を行なわない施設が含まれる。かかりつけ医のあり方を適切に議論するためにも、厚生労働省は保険医療機関の集計を充実させるべきである。

 

2.診療所の施設総数は、上記のように保険診療を行なわない施設を含み、近年、特別養護老人ホームの医務室等が増加していることから、総数としては増加しているが、一般診療を主とする診療所は、全国的にそれほど増えていない。それどころか地方部ではすでに減少に転じている。病院勤務の若手医師が診療所に参入しなければ、診療所医師の高齢化によって、かかりつけ医機能を担う診療所の廃止が加速度的に進む地域が出てくるおそれがある。また、診療所の少ない地域では中小病院がかかりつけ医機能をもつことも考慮してその機能強化を考える必要がある。

 

3.個人立診療所(個人開業医)から医療法人化するところもあるが、診療所の約4割は個人立診療所である。診療所の経営状態の把握にあたっては医療法人に着目されがちであるが、個人立診療所は経営規模がより小さいことに留意しておく必要がある。

 

4.診療所は全国平均で見ると大規模化しているが、地方には医師1人の診療所も多い。今後、在宅医療や遠隔医療など、診療行為の多様化に対応するためには、「かかりつけ医を中心に地域の医師がチーム一丸となって患者さんを支え」(日本医師会「国民の信頼に応えるかかりつけ医として」) る仕組みづくりが必要である。

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