リサーチレポート

リサーチレポートNo. 128 2022-06-16

かかりつけ医の制度整備について思うこと

前田 由美子

 

1.財政当局から、かかりつけ医の制度化の要請がある。しかし、かかりつけ医を登録制にして受診を制限することで医療費を削減できるわけではなく、そうすべきでもない。

2.先進各国は、かかりつけ医制度の有無にかかわらず、自国の医療を守るため経済力に見合った一定の財源を投じている。受診回数が少ない国も、むしろ1回当たりの医療が高く評価されている。

3.英国ではGP(General Practitioner)への登録制であるが、GPにかかってから専門医につながるまでに、日本に比べるとかなり時間がかかる。

4.新型コロナウイルス感染症への対応をめぐっては、かかりつけ医に対して批判もあったが、診療所は医師1人で業務の代替がきかず、小さな施設で動線分離もできないため、感染症を診療するハードルはきわめて高かった。かかりつけ医がチームで対応できる仕組みを整える必要があるだろう。

5.診療所経営の視点からは、かかりつけ医の登録制に包括払いが抱き合わされることで、医療費が抑制されるのではないかという不安がある。それでなくても、かかりつけ医機能を担う診療所への医師の参入は頭打ちになっている。他方、英国ではGPに対して大胆な投資を決断するときもある。日本でも、かかりつけ医への投資も含めて、かかりつけ医を育てるという気持ちで支えることが、かかりつけ医機能向上への第一歩になるのではないかと考える。

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