リサーチレポート
リサーチレポートNo. 126 2022-05-13
医師養成数増加後の医師数の変化について
- 「医師・歯科医師・薬剤師統計(調査)」を元に、医師養成数増加に転じた後の2010年から2020年にかけての変化を中心に、医師数の推移を概観した。
- 長期的には、増加した医師数のほとんどは病院で増えた。診療所医師への参入は伸び悩んでいる。
- 診療所診療科別では、地域包括ケアシステムの中で中心的な役割を担うことが多いと推察される内科系の医師が増えていない。一方で、美容外科は絶対数は少ないものの、顕著な伸びを示している。
- 各大学が医学部定員に診療科別地域枠を設定したり、厚生労働省が診療科別必要医師数を推計したりしている。しかし、診療科の偏在解消以前に、現状は、保険外の自由診療の診療科に従事する医師の流出を防ぎきれてない。
- 国は、かかりつけ医の推進を進めている。しかし、かかりつけ医機能を担うそもそもの医師が増えていない。かかりつけ医機能の評価を高めることや、地域によっては中小病院がその機能を担う必要がある。
- 地域別偏在については、医師遍在指標が全国平均を下回る県で、医師確保が難航している県がある。地域医療構想における病床の適正化と医師確保計画との整合性がとれていない地域もある。
- 医師が都道府県をまたいで兼業していることが、あらためて明らかになった。しかし、兼業の詳細は公表されたデータには収載されていない(調査は実施されている)。兼業の状況は医師の働き方改革に与える影響が大きいことから、厚生労働省が詳細データを追加して公開することを期待したい。
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