リサーチレポート

リサーチレポートNo. 120 2021-12-06

地域医療連携推進法人について

前田 由美子

 

  1. 地域医療連携推進法人は2017年にスタートした制度で、2021年10月末現在29法人が認定されている。「骨太の方針2021」が地域医療連携推進法人制度の活用等による病院の連携強化や機能強化・集約化の促進を求めるなど、同推進法人の活用を後押しする動きが出てきている。
  2. 多くの地域医療連携推進法人で、医療従事者の派遣・人事交流、共同研修、医薬品の共同購入、医療機器の共同利用が行われているほか、医師少数区域での医師確保や公立病院等の再編統合を目指すものがある。地域医療連携推進法人でなければ実施できない資金融通については、少なくとも公開資料からは確認できなかった。
  3. 地域医療連携推進法人は認定後間もないところが多く、成否の判断はできかねるが、リーダーシップをとる病院(あるいは人材)があり、かつ事務局を運営する能力のある病院(あるいは人材)があるケースでは、参加医療機関から一定の評価を得ているようである。
  4. 公立病院については経営状況も概観したが、これも認定後間もないこともあり、一部を除いて明らかな改善は見られなかった。ほとんどの連携法人で実施している共同購買は、まだ計画段階のところが多く、経営面で成否が出てくるにはもう数年かかるものと推察される。
  5. 病院の再編統合、共同購入や研修等は地域医療連携推進法人でなくとも実施可能であり、実際、法人認定を受けない緩やかな連携で進めているところもある。地域医療連携推進法人化したほうが良いかどうかは、今のところ、そういう形があったほうが進めやすいかどうか、参加法人の考え方によるだろう。

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