リサーチレポート

リサーチレポートNo. 119 2021-12-06

国・公的医療機関の2020年度決算(その2)
-都道府県・市町村・地方独立行政法人-

前田 由美子

 

  1. 都道府県、市町村、地方独立行政法人が開設する病院(総称として公立病院という)の経営状況について2020年度決算を中心に概観する。
  2. 2020年度は、医業収入が減少し、他会計繰入金等(地方独立行政法人では運営費交付金等)に大きな変化はなかったものの、新型コロナウイルス感染症関連の補助金等収入が寄与して医業収入の減収をカバーし、当期純利益が黒字に転じた。ただし都道府県・市町村はそれまでの繰越損失が大きかったため、利益剰余金はわずかにプラスになった程度である。
  3. 2020年度は、総収入に占める他会計繰入金等(または運営費交付金等)および補助金等の割合は約2割であった。従来ある他会計繰入金等(または運営費交付金等)の全国計は約8,500億円であった。
  4. 看護師を例にとると特殊勤務手当が増加しており、新型コロナウイルス感染症対応で何らかの手当てが行われた可能性があるが、給与費全体では目立った引き上げは見られなかった。
  5. 公立病院は、民間病院に比べて給与費が高いことが指摘されているが、設備費についても、設備投資に見合った収入が得られていない、あるいは収入に比べて設備が過剰な状態にある。
  6. 今後、新型コロナウイルス感染症の流行が一定の収束をした後、補助金がなくなること、患者の受診控えが従前に戻らないこと、繰入財源が先細ることといった懸念材料もあることから、経営改革のスピードアップが必要である。また、地域医療構想の再検証対象医療機関は、新型コロナウイルス感染症対応前の評価であるため、その後の状況も踏まえたきめ細かな支援が必要である。

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