リサーチレポート

リサーチレポートNo. 117 2021-11-09

諸外国の安楽死に関する法制度・データの概況 Ver.1

田中 美穂(日医総研 主任研究員)児玉 聡(京都大学大学院 准教授)

 

 近年、特に2000年代後半以降、欧州の一部の国、北米や大洋州の一部の国や地域等で、安楽死に関する法律が制定される事案が続いている。ただ、世界的に見れば、安楽死を法的に実施できるのは諸外国の中でも少数にとどまっている。日本をはじめ、大半の国や地域では、いずれの形の安楽死も違法、または、違法となる可能性があるのが現状である。

 容認している国や地域の中には、自国の住民だけでなく外国人に対する安楽死が可能なところもある。例えばスイスでは、複数の団体が外国人にも安楽死(スイスの場合は医師による自殺幇助)を行なっており、日本人もしくは日本居住者が複数亡くなっている。

 本稿は、安楽死に対して反対・賛成のいずれの立場を取ることなく、客観的なデータや事実にのみ着目した資料集である。医師等による自殺幇助・死の介助のみを容認している国や地域、積極的安楽死のみを容認している国や地域、両方を容認している国や地域の三つのカテゴリーに分けて、1. 法律名、2. 法制化の経緯説明、3. 法律のポイント、4. 公的機関を中心とする公式報告書の公表データを整理した統計データ概観(死亡者数の年次推移、男女比、教育歴、疾患の内訳、終末期の懸念、いずれも公表している場合)、5. 行政資料のURL、を紹介する。

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