リサーチレポート

リサーチレポートNo. 114 2021-10-07

診療所の診療科特性について(その2)
-医療費(点数)、日数、件数-

 

  1. 外来医療の議論の参考に資するよう、さまざまな診療科別データについて、2021年9月に「診療所の診療科特性について(その1)」(施設数、医師数等の集計結果)を公表した。本稿はその第二弾である。
  2. 本稿は医療保険医療費についての分析である。産婦人科の正常分娩の費用、小児科のワクチン接種の受託収入など保険診療以外の医業収入を含まない。
  3. 2009年度から2019年度までの10年間、診療所医療費全体および1施設当たり入院外医療費の年平均伸び率はいずれも0.8%であり、1%を下回る。特に小児科で長期的に伸びていない。売上高の伸び率は経営体の成長力を表わす重要な指標である。診療所という組織を持続するためには(同時に地域医療を維持するためには)再生産を繰り返すことは不可欠であり、成長力の原資である売上高(医療費)の伸びは必須である。
  4. 入院外1件当たり日数は、整形外科、内科などで診療報酬本体のプラス改定率を打ち消す下げ幅で短くなっている。内科などの通院間隔の拡大の背景には長期処方がある。これまでの調査では長期処方の課題も明らかになっており、あらためて長期処方の問題についてフォローすべきである。
  5. 新型コロナウイルス感染症の流行による受診控え等により、小児科および耳鼻咽喉科を中心に1施設当たり総件数および総日数が大幅に減少している。今後の動向(特に総件数は回復するのかしないのか)を注視したい。

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