リサーチレポート

リサーチレポートNo. 108 2021-08-11

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響
-2021年2月~4月分-

 

  1. 新型コロナウイルス感染症による受診控えにより、総件数は2020年1月以降、対前年同月比のマイナスが続いていた。2021年3月、4月にプラスに転じたが、対前々年同月比は依然としてマイナスである。
  2. 2021年4月の初診料算定回数はこれまでの反動により対前年同月比で3割近く増加したが、再診料算定回数は約1割増に止まっており、長期処方が続いていることがうかがえる。
  3. 2021年4月は受診控えの改善および新設された診療報酬の寄与により、初・再診料等と新設加算の合計が、1年前の同月の初・再診料等の落ち込みをカバーした。新型コロナウイルス感染症の影響が1年以上続いてきたことを鑑みると、新設された診療報酬を少なくとも1年以上維持する必要がある。
  4. 2021年3月の医業収入等対前年同月増には発熱外来補助金が寄与している(発熱外来補助金は2021年3月末で終了)。 なお、発熱外来補助金は、一般医療の診療や動線等の制限から対応できない診療所もあったことに留意が必要である。
  5. これまで1年以上、減収・減益が続いていたことを踏まえると、受診控えが2021年4月なみに改善した前提で、かつ、診療所全体の平均で見て診療報酬および補助金を含めた増収基調が1年以上続くことが望まれる。
  6. しかし、受診行動はこれまで緊急事態宣言に敏感に反応してきた。本調査以降、首都圏等で緊急事態宣言が再発令されており、ふたたび受診控えが深刻化しているおそれもある

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