リサーチレポート

アルツハイマー病に対する新薬アデュカヌマブ（Aduhelm™）の
米国FDAの承認について

森井 大一、前田 由美子、村上 正泰、野村 香織、原 祐一

• アデュカヌマブ（Aduhelm™）
  アルツハイマー病の病態であるアミロイドβ沈着を抑制する新薬である。アルツハイマー病に対する初めての疾病修飾薬として期待されている。
• アデュカヌマブ（Aduhelm™）の米国での承認プロセス
  Accelerated Approval Pathwayという特例的な承認となっている。承認過程で示された第III相臨床試験のエビデンスが疑問視されるなど、承認までの道のりはスムーズではなかった。承認後も、Natureを含む複数の媒体から疑問視する意見が出ている。

• アデュカヌマブの経済性
  米国での薬価は1人の患者に対し1年で＄56,000であり、これは日本円で610万円に相当する。軽度認知障害を含むアルツハイマー病が適応となっており、米国に620万人、日本にも数百万人の患者がいるとされている。

• 同系薬の動向
  同様の作用機序を持つ複数の抗アルツハイマー病薬の臨床研究が進んでおり、今後も同種の問題が起こる可能性がある。