リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 54 2009-10-27

医師不足問題をどう捉えるべきか?
— 医師数の問題ではなく、診療報酬が低いことが問題 —

 

  • 医師不足問題に見えている現象の大部分は、医療サービス市場における需要超過・ 供給不足のことであり、医療サービス価格(診療報酬)が低い水準で固定化されて いることが本質的な問題である。したがって、診療報酬を段階的に引き上げること を第一の政策とするべきである。
  • 医師数を増やす政策は、将来の需要動向とは無関係に、実質賃金を引き下げる効果 を持つ。そのため、医療サービス市場における需要超過・供給不足の問題を解消す る効果には疑問がある。さらに、実質賃金を引き下げ、医師過剰を招くだけの可能 性があり、医師の社会的立場低下を通じて、医療の質が悪化してしまう懸念もある。 したがって、医師数を増やす政策の実施には慎重になるべきである。
  • 女性医師の増加、特定診療科での医師数減少に対しては、医師を確保する対策が必 要となるだろう。特定領域における診療報酬の引き上げ、労働環境の改善、具体的 な医師育成・確保の計画が求められるだろう。

ダウンロード  (約 349 KB)