リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 58 2012-08-30

HbA1c 検査の表記変更における臨床検査部門の対応に関する調査

 

 臨床検査におけるHbA1c検査の測定値は、糖尿病診断の重要な検査として、 これまでJDS値により表示されてきたが、平成24年4月1日より、諸外国で 広く用いられている値である、NGSP値に移行された。
 実際、臨床検査の現場で、この変更に対応できているかの現状把握のため、 HbA1c値の表示変更に対する臨床検査部門の対応状況の調査を実施した。
 調査の結果、大きな混乱はなく、診療部門や健診部門へ適切に対応されている と考えられる。しかし、一部の検査部門では、新たな表記であるNGSP値の測定 ではなく、従来のJDS値を測定した上で、検査支援システム等により測定結果に 0.4を加算して運用している施設が存在した。
 また、日常臨床や健診におけるHbA1c検査の表記に関しては、患者への説明や 診療部門に対する周知に相当の準備と期間を要することや、表記の統一の必要性、 過去データとのマッチング等の課題が挙げられた。
 今後、NGSP値のみ表記することや、日常臨床と健診の表記を統一する場合には、 国や関係団体等による、医療現場等への一層の働きかけが必要である。

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