リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 59 2012-10-26

「2012年の米国大統領選挙における両候補の政策:
TPP・対日本を含む対外経済政策とヘルスケア改革の行方を中心に」

 

【キーワード】

2012年米国大統領選挙、対外経済政策、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、ヘルスケア改革(オバマケア)、日米安全保障条約第二条(経済協力条項)

 

【要 旨】

本稿では、2012年の大統領選挙にあたってオバマ・ロムニーの両候補が発信する一次情報をもとに、彼らが「(i) TPP・対日本を含む米国の対外経済政策」、「(ii) 米国のヘルスケア改革」の2点において、それぞれ何をしようとしているのかを簡潔に整理し、その戦略を構造的に明らかした。そのうえで、「今後、彼らの政策がわが国の医療にどのような影響を与えうるか」という視点から考察を加えた。

(1)TPPに関して両候補の政策スタンスに大きな違いはないこと、(2)オバマの製造業における新たな雇用創出目標、(3)ロムニーの対外経済政策・安全保障政策の両面での強硬な対中国の姿勢と自由貿易圏のさらなる拡大を貪欲に求める姿勢、(4)ロムニーの日本に関する関心の薄さ、(5)ヘルスケア改革(オバマケア)の継続/廃止が有形無形にわが国の医療に与える影響、の5点に注目すべきである。また、米国の指導者層の掲げる政策を眼前にして、「現代を生きる私たち自らの視点で、戦後の日米関係とその歴史を捉え直す」ことが求められる。

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