リサーチエッセイ

リサーチエッセイNo. 65 2018-07-05

地域医療介護総合確保基金の現状(2017年度都道府県計画)

 

  • 各都道府県の地域医療介護総合確保基金2017年度計画をもとに分析を行った。
  • 地域医療介護総合確保基金は、財政力の弱い県に対する補完として活用されている。都道府県ごとに「柱」のメリハリが異なっている点も、地域の実情を踏まえたものとして評価できよう。
  • 基金は「地域ごとの様々な実情に応じた医療・介護サービスの提供体制を再構築」(社会保障制度改革国民会議報告書)にむけた重要な財源として定着しており、今後もさらなる維持・拡大が必要である。
  • 対象事業については、2018年度予算では、基金(医療分)934億円のうち「事業区分1. 病床の機能分化・連携」に500億円以上を充てることになっている 。しかし、地域ごとの様々な実情に対応するという基金の趣旨に鑑みれば、より柔軟に活用できるようにすべきである。
  • 病院内保育所関係の事業は他の事業との兼ね合いもあり、なかなか拡充していない。国として少子化対策を進めている中、病院内保育所関連事業については限られた基金の中で収めるのではなく、国の子ども・子育て支援として予算を確保すべきではないかと考える。
  • 医師確保対策においては、都道府県が新たな事業を発想することに限界がきているようにも感じられる。今般の医療法及び医師法の一部を改正する法律により、地域医療対策協議会の機能が強化され、医師確保対策の実効性が上がることが期待される。国としても、これまで以上に都道府県に対する支援が求められる。

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別冊 2017年度地域医療介護総合確保基金都道府県計画一覧 (約484 KB)